2015年9月3日木曜日

映画目録「プロミス・ランド」


<あらすじ>
石油に代わる、次世代のエネルギーとして期待される「シェールガス」。その開発用地を仕入れるために、ペンシルヴァニアの田舎町にやってきた主人公。いつものように住人達を「足の下に金が埋まってる。それを掘り出して、人生を変えるんだ」と口説き落としていくが、ある時から「シェールガスは環境破壊を伴う」という反対運動に合い、交渉がうまく進まなくなる。住人達からはそっぽを向かれ、意中の女性からも距離を置かれ、次第に、仕事への信念や情熱が揺るがされていく主人公。名誉回復のために、地元みんなで盛り上がれるお祭りを企画するが…
<多分ここが面白いところ>
・善悪の境界線を設けてないところ
「農村部の貧困」「環境破壊」を描いたドラマはたくさんありますが、この映画は、開発会社のエリート社員を主人公にしている時点で、面白いと思いました。一般的に「開発会社=悪者」となりがちですが、この映画は、悪者が特に見当たりません。みんな、自分の生活や夢や希望があって、それなりに葛藤を抱えながら生きています。そのドラマが、きちんと描けていたのが好感を持てました。
・日々の営みに対する考え方のギャップ
この映画は、主人公と、それを取り巻く人々との間にある“ギャップ”が大きなテーマになっています。それは、色んなシチュエーションで細かく表現されていますが、具体的・明確に「これ」と表現されることはありません。私が思うに、それは『何気ない日々の営み』に対するとらえ方なんじゃないかと思います。よく、女の人で、付き合っている男の人に、悩みや不安を愚痴る人、いますよね。で、男が「じゃあこうしたら」って解決策を提示すると、「そんなこと聞いてるわけじゃない」みたいな。別に、解決してほしいわけじゃないんですよね。自分の人生を共有したいというか、何というか。主人公はいい奴なんだけど、こういった日々の小さな営みに、まったく理解がないんですね。むしろ「解決策を提示してるのに、何で怒るんだ?」と思っちゃう。私も似たようなところがあって若い頃はずいぶん苦しめられたので、主人公の気持ちになってみてしまいました。
<印象的なシーン>
主人公が一人、酒場で酒を飲んでいるとき、反対派の住人が絡んできます。「てめえも農家出身なんだろ? こんなことして恥ずかしくねえのか!?」みたいな感じで。そん時、主人公が言い返すんですよね。「あんたらが手に入れるのは、はした金じゃない。人生を変える、ぶっ飛ばし金なんだ。子供を大学に行かせられない? ぶっとばせよ。銀行に金が返せない? そんなのぶっとばせ」と。これを聞いた住人達は、怒ります。でも、主人公は、なぜ彼らが怒るのか理解できません。主人公と住人達の間にある、埋めがたい溝(人生に対する考え方の差)を、うまく表現していたと思います。

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