<あらすじ>
NYのブロンクスで暮らす16歳の黒人少年。独学で小説を書くなど、実は学業の面で類まれな才能を持つが、エリートを嫌う友達の手前、ひた隠しに生きている。ある時、学力テストの結果を知った名門校から誘いを受ける。バスケと学業の両立を臨む少年は、悩んだ末、名門校へ移る。同時期に、ひょんなことから知り合った引きこもりの老人が、有名な文豪であることを知る。文章の書き方について教えを請う少年だが、老人から学び書いた文章が学校で「盗作」という疑いをかけられる。
<多分ここが面白いところ>
・会話で相手をやっつけることをトラッシュトークと言いますが、少年、老人ともに会話がいい。BMWを自慢する男に対して、少年が「BMWは、戦前は車ではなく航空機を作っていたんだ。エンブレムは青い空に回るプロペラ。自由の証。もちろん、それを知ってて買ったんだろ?」と言うシーンとか。
・バスケットボールのシーンですね。ガスヴァンサントが、バスケットボールをとったらこうなるんだ、という感じがして面白かったです。基本的にヨリなんですね。ほとんど俯瞰では撮らない。
・同様の仕事に就いている身として、老人のセリフが個人的に印象に残りました。「自分のために書いたものの方が、他人に見せるために書いたものより優る」「文章を書いている時の至福の一時を知っているか? 出来上がった文章の第1稿を見るときだ。批評家たちが、自分では一生なしえないようなことに対して、メッタ切りにする前にな」
<印象的なシーン>
老人が、真夜中の町を自転車で自由に走るシーン。手を軽くあげて、道路を走るシーンが「引きこもりからの卒業」を上手く言い表していました。「盗んだバイクで走り出す」と言う有名な歌詞がありますが、二輪車は「自由の象徴」というイメージがあるのかもしれません。ちなみに、このシーンは、おそらく「サニー(松本大洋)」という漫画のあるシーンの参考にも使われていると思います。気になった方はぜひ。
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