ストリップのショーパブのオーナーを務めるラリー・フリント。店の会報誌としてヌード写真集「ハスラー」を作ったところ、大うけ。あれよあれよという間に億万長者になるが、ある日、猥褻容疑で逮捕されてしまい、全米から反社会的のレッテルを貼られる。挙句に何者かに撃たれて下半身不随になってしまう。しかし、反省・後悔することもなく、ますます攻撃的になるフリント。ついに弁護士からも見捨てられてしまい、最愛の妻もエイズになってしまう。
※実在のポルノ王と呼ばれる「ラリー・フリント」の半生を描いたそうです。
<多分ここが面白いところ>
・2時間の間にフリントの立場が、貧乏→大富豪→犯罪者→世の中のはみだしもの→表現の自由のシンボル→半身不随というように、ジェットコースターのように変化していきます。でも、当のフリントは何も変わっていないところが面白いです。基本的には一貫して「野蛮」です。主義も主張もへったくれもないんですね。陰部の撮影についても「撮ったらダメ」って言われたから撮ってやる、みたいな。基本的に「ダメ」と言われると、猛烈にやりたがるんです。著名な聖職者をパロってマザーファッカー呼ばわりしたり、裁判所に星条旗でできたオムツを履いて出廷したり、法廷で保釈金をぶちまけたり。「アマデウス」のモーツァルトしかり、「カッコーの巣の上で」のマクマーフィ―しかり、ミロス・フォアマンという監督は、こういう人が好きなんでしょうね。私も大好きです。
・そんなフリントの、唯一の泣き所が妻の「アリシア」です。フリント以上に自由で奔放。フリントが他の女と寝るように、アリシアも他の男と寝ちゃうんです。ついには薬物中毒、さらにエイズになって、社会的に孤立してしまうのですが、フリントはそれでも彼女を守るんです。大豪邸の一番厳重な部屋に、一緒に引きこもるわけです。そして壊れていくアリシアを少しでも楽しませようと、無茶くちゃやるんですね。私は「ラリー・フリント」という作品について、観る前は「自由への戦いのドラマだろう」と思っていましたが、観終わった今は、「自由への戦いを挑んだフリントとアリシアの純愛ドラマ」と思っています。
<印象的なシーン>
アリシアが死ぬシーンですね。フリントが本心で取り乱すのは、あそこぐらいじゃないでしょうか。水中を漂うアリシアも、美しく撮られていました。
0 件のコメント:
コメントを投稿