子供の頃から、人を驚かせ、楽しませるのが好きなアンディ・カウフマン。TVの人気番組への出演をきっかけに一気に人気コメディアンの仲間入りを果たすが、マンネリを嫌うアンディは演出家の意見を無視して、独創的なパフォーマンスばかり。周囲の反対・諫言にも「面白ければそれでいい」と一切耳を貸さない。あげくに「世界無性別級チャンピオン」を名乗り、女性相手に金をかけてプロレスまでやりはじめる始末。ある時、アンディは末期の肺がんを宣告され悲嘆にくれるが、周囲は「また嘘を言って」と誰も信用してくれない。
※ 35歳でこの世を去った伝説のコメディアン・アンディ・カウフマンの生涯を描いた作品です。監督は「アマデウス」「ラリー・フリント」のミロス・フォアマンです。
<多分ここが面白いところ>
・冒頭5分のシーン。アンディが「自分の人生を編集したら、何にも残らなかった」と言うシーン。最初は、何が何なのかさっぱり分からないのですが、映像をすべて見終わった後、思い出すに、おそらく「多くのパフォーマンスが放送上カットされてきた」という事実を皮肉っているのだと思います。
・アンディが思う「楽しさ」と世間一般の「楽しさ」のズレが面白いです。たとえば、TVの収録映像に手を加え、見ている人に「TVが壊れた?」と思わせるように仕向けたり、ライブで「華麗なるギャッツビー」の全編を朗読してみたり。前衛的すぎて周囲には全く理解されないのですが、それでもアンディは楽しそうです。今なら「シュール」で片付けられるのですが、30年も前のことですからね。頭がおかしいと思われたんだろうなー。今見てもよく分からないですし。
・アンディが別キャラとして演じている「トニー・クリフトン」が面白いです。客や共演者をいじり倒して、悪く言う、毒蝮三太夫みたいなキャラクターなのですが、とにかく、口が悪い。でも、見ているとやっぱり、スカっとするんですよね。何ででしょう? 我々はそんなに抑圧的な毎日を送っており、心のどこかで常にトニーのような振る舞いに憧れているという事でしょうか。
<印象的なシーン>
末期の病に冒されたアンディは、藁にもすがる思いで、フィリピンの怪しげな名医を訪ねます。メスを使わずに体の悪いところを抜き取る、みたいな。しかし、そこで目にしたのは、嘘っぱちの手品でした。それまでヨガなど東洋医学を信じてきたアンディですが、偽医者の行いを目にして、思わず笑います。騙されたと怒るのでもなく、悲しむのでもなく、笑うのです。「どんな状況下でも、面白いことが優先される」というアンディの生き様が、はっきりと表れている、いいシーンだったと思います。
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