2014年10月7日火曜日

「自分にしかできない仕事をしたい」のではなく、「自分にしかできない仕事にしたい」。

『何かを言うのであれば、
 今ここで自分が言わなければ、
 今後、誰も口にしないであろうことを言うべきだ』

武道家であり哲学者である
内田樹(たつき)さんが書いた
「街場のメディア論」の中に
そんな一説があります。

『つまり、今、自分が言っても言わなくても
 いずれ他の誰かが言うであろうことは
 口にする必要がないということだ』

おそらく内田さんとしては
“メディアというのは、
 それぐらい責任をもって発言してほしい”
という意味だと思うのですが、
私は、脚本についても同じように考えています。

今、この瞬間、
自分が発信しなければ、
今後、世の中から消えていってしまう、忘れ去られてしまう、
そういう物語や想い、無念さ、バカバカしさ、
そういうことを訴えていくものだと思うのです。

もちろん、そんな唯一無二のものなど、早々、世の中にないわけで、
だったら、ほとんどのメディアは何も言えなくなるし、
ほとんどの脚本家は筆をおかざるを得ないわけですが。

でも、少なくとも、
心構えは、そうあるべきじゃないでしょうか。

脚本を書いている間は
「誰でも書きそうだなセリフだな」
そんな疑念に駆られては、書き直す。
「どっかにありそうな展開だな」
そんな思いに囚われては、書き直す。繰り返しです。

以前、コピーを書いている時も同じでした。
「自分にしか書けないもの」を追い求めて、
ぶつぶつぶつ、うわ言のように言葉を紡いでいました。

努力すれば、いいものができるとは限りません。
でも、努力しなければ、いいものは絶対にできません。

最初から唯一無二のものなどどこにもなくて、
ただ、ひたすら磨き上げることで、
唯一無二になるのだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿