2015年2月5日木曜日

何度もいいますが、NHKドラマ「徒歩7分」が面白い(火曜午後11:15~11:45)

以前にも一度取り上げましたが、
NHKのドラマ「徒歩7分」がものすごい面白いです。

全8回で、先日までに5回まで放送されましたが
「なぜ面白いのか」
改めて、もう一度考えてみました。


◆バックボーンが一切提示されない

依子は引きこもりのストーカーです。
・なぜ、引きこもりになっているのか。
・なぜ、ストーカーになっているのか。
普通なら、「バックボーン(動機・理由)」に焦点が当てられ、
ドラマが進むにつれて、それが明らかになるはずなのですが
一向に明らかになる気配がありません。

依子に限らず、他の登場人物もみなそうです。
お節介な隣人も、依子を間違ってストーカーしていた男も
口の悪い妹も、コミュニケーション過多な階下の弁当屋も、
「なぜ、そういう人生を送っているのか」
バックボーンが一切提示されません。

シナリオとしてはかなり異質です。
シナリオはドラマを描くもので、そこには必ず、
人生を左右する決定的転換点(ターニングポイント)
というものが求められます。
分かりやすく言うなら、
「このキャラは、こうだから、こうなった」
「こうなったから、こうなる」
と見ている人に納得感をもってもらう必要があるわけです。

でも、考えてみれば、
実際の人生って、そういうわけにはいきませんよね。
誰もが自分のターニングポイントを知っているわけではないし、
何となく生きてきて、気づいていたら、こんな風になっている、みたいな。
それが現実です。

今、あなたの目の前に依子のような人がいたとして
「あなたはどうしてそうなったの」と聞いても、
たぶん、あいまいな答えを返してくるだけだと思います。
そもそも、あなただって、そこまで突っ込んだことを聞けませんよね。
他のドラマは、ドラマだから、どんどん突っ込んで聞いてますけど、
本来、トラウマなんて、怖くて聞けないはずなんです。

だから、ある意味、徒歩7分は
とても現実的なドラマだと言えます。
見ている側は
「どうして、この人はこうなったのか」
考えをめぐらせるしかありません。

だからこそ、もどかしくて、
だからこそ、リアリティがあるのだと思います。



次の放送日は2/10(火)。
「なぜ、こんなに面白いのか」
理由はきっとまだあるはずです。
まだまだ、考えてみたいと思います。

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