2014年12月17日水曜日

コービーがジョーダンを超えた。

私がコービーブライアントを初めて見たのは
1996年のことだ

当時、彼は高卒から、
世界最高峰のバスケットボールリーグNBAに入ったばかりの、
若干18歳のルーキーだった。

体も技術も全然なくせに
負けん気ばっかり強くて、
いつも「ボールをよこせ」って叫んでた。
パスをしないでいつもシュートばっかり打っていた。

リングにかすりもしないことを「エアボール」と言うが、
コービーはエアボールばっかりだった。
「エア・ジョーダンは宙を華麗に舞うが
 コービーはエアボールばっかりのエアだ」
なんてからかわれていた。

時は変わる。

コービーは上手くなって、すごいプレーヤーになった。
ジョーダンのブルズ以来となるリーグ3連覇も果たした。
得点王にもなった。MVPにもなった。オールスターの常連にもなった。
NBAを代表するスーパースターになった。

時は変わる。

レブロンジェームス、ケビンデュラント、
リーグには新しいスターが次々に台頭した。
LAは常勝軍団ではなくなりつつあった。

そんな時、コービーはアキレス腱断裂という大けがを負った。
34歳にして初めての大けがだ。
バスケットボールどころか、日常生活さえ危ぶまれた。

この時期、コービーの所属するロサンゼルスレイカーズ(LA)は
負けっぱなしの常敗集団で、かつての面影はどこにもなかった。
コービー一人が復帰しても、どうにもならないことは目に見えていた。

「引退」

誰もが思った。
もう十分やったよ。
これ以上、何を求める?
輝かしい功績に泥を塗るだけだ。
誰もが思った。

でも、コービーは1年のブランクを経て、コートに帰ってきた。

あの頃のようには飛べない。
あの頃のようには走れない。
それでも、コービーはあの頃と同じように
「ボールをよこせ」と叫び、シュートを打ちまくった。
「勝つ気があるのか? 悔しくないのか?」チームメイトを怒鳴りまくった。

批判は多い。
もっと回りを活かせとか
自分の衰えを自覚しろとか
色々ある。

正直な話を言えば、
今シーズンのコービーはひどい。
シュートを30本打って、5本ぐらいしか入らないこともざらだ。
ルーキーシーズンを彷彿とさせる、ひどさだ。

バスケットボールをやっていた身として言うなら
エアボールが続けば、普通、シュートを打つのが怖くなる。
ましてや、それが試合終了間際、1.2点を争うシーンならなおさらだ。

でも、コービーはたとえどんな時であろうと
「ボールをよこせ」と叫び、
ためらうことなくシュートを打つ。
私は、そこがすごい、と思う。

以前、同じようなことを質問した記者がいて、
コービーはインタビューでこんな風に言っていた。

「何本外そうが俺は打つ。俺ならば30本中0本までやる。
 たとえば、10本中0本で終わってしまったとする。
 それは自分自身に負けたということ。
 自分からゲームを逃げ出してしまったということだ」

そんな彼が、先日、ジョーダンの得点数を抜いた。
これは、その偉大な記録を樹立した日、
彼がコラムに寄せたエッセイだ。
http://tunadrama.com/blog/kobe-essay-zero-after-passing-jordan/

なんてすばらしいコメントなんだろうと、感心した。
コービーは、他の誰でもなく、
自分と闘い続けている。

私はコービーのプレイを見ていると、勇気が出てくる。

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